このような症状に
当てはまっていませんか?
- やけに喉が乾くようになってきた
- おしっこの回数が多い
- おしっこの臭いが気になる
- 食欲はあって食べているのに体重が減っている
- 疲れがとれにくい
- 肌が乾燥して湿疹ができて痒い
- 血液検査で血糖やヘモグロビンA1c(HbA1c)の数値が高いと言われた
上記の症状のいくつかが当てはまる場合、糖尿病やその予備軍の可能性があります。一般的には、糖尿病はほとんど自覚症状がなく発病します。高血糖によって血管にダメージが起きることが病態ですから、身体のいろいろな部分で合併症を起こして自覚症状が現れます。その種類の多さから糖尿病は「合併症のデパート」と言われるほどです。残念ながら今のところ一度発症してしまうと完治することはできません。
これら合併症は、一度悪化してしまうと改善できないものが多いため、早期のうちに治療を始めて血糖値をしっかりとコントロールしていくことが大切です。健診等で糖尿病を指摘された場合はできるだけ早く受診してください。血糖をしっかりコントロールしていけば、糖尿病があっても何ら不自由のない快適な生活を送ることができます。一方、糖尿病を放置すると血管の障害が進み、命に関わったり、寝たきりになったり、手足を失ったり大変な状態になります。
当院では、初期の段階、軽症の糖尿病の治療は行っていますが、様々な合併症を起こすような重度の糖尿病については、関連施設の綾瀬市原クリニックや連携する高度医療機関をご紹介し、そちらでスムーズに治療を受けていただけるようにしています。
糖尿病とは
食物に含まれる糖分は、腸でブドウ糖に分解されて吸収され、血中に含まれて全身を巡りエネルギーとして使われます。これが血糖です。エネルギーとして使われずに血液中に余ったブドウ糖はグリコーゲンとして肝臓や筋肉に貯蔵されます。この貯蔵の仕組みをコントロールしている重要なホルモンが膵臓の膵島(ランゲルハンス島)で作られるインスリンです。
このインスリンが膵臓の不具合によって作る量が減少してしまったり、インスリンは正常に作られていても何らかの理由でうまく働くことができなくなると、血液中のブドウ糖が溢れるようになります。つまり高血糖になります。
高血糖は血管にダメージを与えるため、様々な部位で悪影響が出てきます。 糖尿病には2つの型があります。膵臓でインスリンを作る過程に不具合が起こってしまったために起こるのが1型と分類され、自己免疫疾患などが原因と考えられています。若年層で発症しインスリン治療が必要になる型で糖尿病患者のうち5~10%程度がこの型です。比較的高齢者で糖尿病を発症する人の中にも緩徐型の1型糖尿病の人はいます。
一方、インスリンを産生する機能があっても産生量が減ったり、産生量は正常かそれ以上あっても生活習慣や遺伝的な理由などでインスリンがうまく働かなくなって発症するのが2型糖尿病です。生活習慣病の1つとされています。糖尿病は血液検査で血液中の血糖値とHbA1cという数値を計測することで確認できます。
血糖値はブドウ糖が血液1dL中にどの程度含まれているかをミリグラム単位で計測します。血糖値は空腹時血糖値(10時間以上絶食が必要)で126mg/dL、随時血糖値で200mg/dL以上あると糖尿病型とされます。糖尿病型とは糖尿病が強く疑われる状態です。
ヘモグロビンA1c(HbA1c)は赤血球内にある酸素を運搬するヘモグロビンとブドウ糖が結びついてできた物質です。血液検査で計測するもので、過去1~2か月の血糖値の状態を反映します。血糖の平均値と言われたりします。この値が6.5%以上であれば糖尿病型とされます。この糖尿病型の血糖値が続くと、体のあちこちで合併症が起こる危険性が高くなります。
血管の破綻による合併症には毛細血管レベルとそれより太い血管レベルとがあります。毛細血管レベルでは目の網膜、腎臓、末梢神経の障害で、それより太い血管レベルでは脳で起これば脳血管障害(脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血)、心臓で起これば冠動脈疾患(心筋梗塞・狭心症)、末梢血管で起これば閉塞性動脈硬化症です。命に関わる重篤な事態や生活に支障のある病気を引き起こしますので、しっかり治療を行い血糖値を正常に保つようにすることが大切です。
糖尿病の原因
1型糖尿病は、5~10%と糖尿病全体でも少ないタイプです。1型糖尿病は若年層でも起こりますが遺伝的要素は少なく、体質的要素と何らかの自己免疫疾患によって膵島にあるインスリンを作る細胞がダメージを受けてしまうことで起こるとされています。
軽症や初期の場合はインスリンを産生しているので、すい臓のインスリン産生の負担にならないような内服薬の投与を行いますが、基本的にはインスリンを自己注射するインスリン治療が中心となります。2型糖尿病はこれに対し90~95%と糖尿病のほとんどを占めているもので、
- 遺伝的な要素
- 加齢
- 炭水化物や高脂肪食の摂り過ぎ
- 運動不足
- 肥満(内蔵脂肪型肥満も含む)
- ストレス
などといった生活習慣に深く関わる要素が原因となることが多い疾患です。糖尿病の血管障害は動脈硬化を来し、高血圧の引き金になったり、代謝異常をきたして脂質異常症を来すようにすべての生活習慣病の根源です。そのため2型糖尿病は生活習慣病の代表に挙げられています。合併症を起こさないよう、まずは生活習慣の改善から初めて、血糖値を正常値に保っていくことが大切です。
糖尿病が引き起こす
合併症について
糖尿病になると、血管障害が起き、末梢の毛細血管やそれより太い血管にもダメージを与えます。血管は全身にありますからあらゆる部位で障害、合併症が起きてきます。
そのため糖尿病は合併症が多いことで知られています。中でも、特に糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害は3大合併症と言われています。
糖尿病性網膜症
網膜には視神経や視細胞に酸素や栄養を供給するために多くの細い血管が集まっています。その血管が糖尿病によって破綻し破れてしまうと、そこに栄養を届けるため、新たに血管を作り出そうとします。この新生血管は大変弱く、すぐにまた破綻します。すると網膜に出血が起きたり、血液の内容物の滲出で浮腫が起こったりして視神経にダメージを与えます。目がかすむ、視力が低下するなどの症状が出て最悪の場合視力を失ってしまうこともあります。
糖尿病性腎症
腎臓には血液を濾過し尿を作る部分に血管がたくさん集まっています。糖尿病でこの血管が障害されると、血液中の老廃物を尿として排出することができなくなり腎障害が出現します。タンパク尿がみられ、血圧は上昇し、全身の浮腫(むくみ)といった症状が現れます。重症化すると腎不全を起こし、尿毒症となって命に関わります。食生活では、糖尿病のカロリー制限に加え、腎臓の負担を減らすため、食事の蛋白質(肉・魚)制限、塩分制限、野菜・果物などのカリウム制限をしなければならず食生活が厳しくなります。進行すれば人工透析や腎移植が必要になり、生活の質が大きく低下してしまいます。
糖尿病性神経障害
血管の破綻が末梢血管で起こることで周辺にある神経にまで障害が影響が及びます。手足の先が痺れたり、痛くなったりします。手袋や靴下型の部位に起きやすいとされます。胃腸の周りの神経が障害されれば便秘、性器の周りの神経が障害されれば性機能障害、四肢の知覚神経が障害されると傷ややけどなどの痛みに鈍感になるため、傷が悪化するまで気が付かず重症化してしまうことがあります。
脳卒中
脳卒中とは、脳の血管障害によって起こる疾患の総称で、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などがあります。その中でも糖尿病で起こしやすいのは脳梗塞です。脳梗塞は、脳の血管が詰まってしまい、そこから先へ血が進まなくなることで起こります。症状は頭のどの部分の血管が詰まったかによって異なりますが、手足の片側麻痺、言葉が出ない、片目の二重視などが主な症状です。重症になると命に関わることがあります。
また、血管が完全に詰まってしまわなくても、その先へ血流が不足した場合、集中ができなくなったり、性格が変わってしまったりするようなこともあり、いずれにしても生活の質が大きく低下してしまう危険な合併症です。
心筋梗塞・狭心症
糖尿病による動脈硬化で、心臓への酸素や栄養補給をつかさどっている冠動脈が障害され狭窄すると、心臓の筋肉に運ばれる酸素や栄養が供給されなくなって、心臓の筋肉が壊死を起こして心臓が機能しなくなり命にかかわります。これが心筋梗塞です。胸が締め付けられるような痛みを感じ、動悸、息切れ、不整脈、全身の浮腫などの症状が現れます。緊急の対応が必要になります。
胸の痛みは、糖尿病で知覚神経が障害されている場合、気づかないこともあり、重症化してしまう可能性が高くなり、最悪の場合命に関わる合併症となります。冠動脈が動脈硬化により内腔が狭くなって血液の供給が少なくなるのが狭心症です。放置すると心筋梗塞に至るので同様の処置が必要です。
末梢動脈性疾患
お腹の動脈から下肢の動脈までが動脈硬化になると足への血液の供給が少なくなるため、下肢に様々な症状が起こります。特に多いのは、間欠性跛行です。しばらく歩くとお尻やふともも、ふくらはぎなどが痛くなり、休まないと歩けなくなる状態です。進行すると、痛みがずっと持続するようになり、安静時にも痛んで歩行が困難になります。日常生活の質を大きく低下させてしまう上、運動ができなくなることで、糖尿病の改善も難しくなってしまいます。
重症化して血管が完全に詰まったり、足先などに傷をできて治らなくなって壊死を起こすこともあり、足を切断しなければならないときもあります。
当院の糖尿病検査方法
糖尿病の診断は、血液検査による血糖値やHbA1cの測定、尿検査による尿糖などの測定によって行います。
糖尿病の治療方法
生活習慣病として怖いのは2型糖尿病です。食習慣や生活習慣からくるものですから、2型糖尿病、または予備軍の高血糖値の状態では、まずは、生活習慣の改善から血糖値をコントロールしていくようにします。
「食事療法」と「運動療法」の2つの生活習慣改善を行い、インスリンを正しく作用させて血糖値を標準値内に治めることを目指します。これらの療法で効果が得られない場合は、血糖値を下げる薬の服用などの薬物療法を行うことになります。
ただし、薬物療法を始めても、食事療法と運動療法は続けて行くことで、2型糖尿病の根本的な原因を解消していくことが大切です。なお1型糖尿病の場合は、インスリン療法を中心として、状態により関連施設の綾瀬市原クリニックや他のいりょうきかんへの適切な紹介をしていきます。
糖尿病が疑われる方は当院へ
糖尿病は初期の段階では、ほとんど自覚症状がありません。自覚症状が現れるのは、段階が進んで合併症が起こってきた時です。合併症のないない初期のうちから血糖値コントロールを行うことで、日常生活の質を低下させず良い状態を保つことが可能です。
ここまで説明した項目の中に少しで思い当たることがあったり、健康診断などで血糖値についての指摘があったりした場合は、できるだけお早めに当院を受診してください。経験豊富な医師が、正確な診断を行い、丁寧な生活指導や的確な薬物療法を行います。