大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
大腸カメラ検査は、肛門からスコープを挿入して直腸から結腸、盲腸と大腸全体の粘膜の状態をリアルタイムに観察し、病変などがあればその状態を詳細に観察する検査です。
大腸は前がん病変であるポリープが発生しやすい部位であり、放置すると一定の確率でがん化すると言われていますが、大腸カメラ検査ならポリープを発見した場合、その場で切除することも可能です。がん等の疑わしい病変があれば、組織のサンプルを採集して病理検査から確定診断を行うことも可能です。
内視鏡検査というと、とにかく苦しいものと思われがちですが、当院では日本消化器内視鏡学会の認定する消化器内視鏡専門医の資格を持つ医師が、大学病院・市中病院などでの豊富な臨床経験から得た熟練の手技によって、患者様の苦痛をできる限り減らした検査を行うことができます。また、鎮静剤・鎮痛剤を使用して、ウトウトと眠っているような状態のまま検査を終わらせることができるコースも用意しておりますのでご相談ください。
当院では、この手技を存分に活かすため、最新鋭の内視鏡装置(EVIS X1)を導入しており、TXI・NBI・RDIなどのテクノロジーにより、診断から処置まで明瞭に画像化して解析することが可能になっています。
40歳を過ぎたら、大腸内視鏡
検査を受けましょう
厚生労働省では、がん患者の年次推移などの統計を行っていますが、大腸がんはその統計数値の中でも、罹患数では男女ともに2位、死亡数では男性が2位、女性が1位という結果になっており、全がんの中でも常に上位に位置しています。近年の傾向としては、男性は若干の減少傾向にあるものの、女性は逆に増加傾向にあるという報告があります。
大腸がんは、早期であれば、内視鏡による切除だけの簡単な治療で完治することが可能ですが、進行してしまうと、大変な手術の上に腸や肛門の機能まで失ってしまうこともあります。早期発見が非常に大切です。
大腸がんの発症が増えてくるのは50歳代以降ですが、前がん病変の大腸ポリープは40歳ごろから増えてくると言われていますから、40歳を過ぎたら、一度大腸カメラ検査を受けておくことをお勧めします。
大腸内視鏡検査でわかる疾患
増加傾向にある大腸がん(女性死亡数トップ)
大腸がんは、罹患数、死亡数ともに常にがんの部位別統計でもトップの方にあります。以前は日本人のがんでは胃がんが一番多かったのですが、これを抜いて上位に上がったのは、食生活が日本型のものから、たんぱく質や脂肪の多い欧米型のものに変化したこと、多忙な時代となり運動不足などが顕著になってきたことなど、生活習慣に大きく関係していると言われています。特に女性では死亡数1位となっています。
大腸がんには、大腸ポリープが時間の経過とともにがん化するものと、直接粘膜に発生するものがありますが、ほとんどは大腸ポリープががん化するものです。
大腸ポリープも早期の大腸がんも、自覚症状が現れないうちに大きくなっていき、通常の診察や検査では発見できないことが多いのですが、大腸カメラ検査であれば、ごく早期の小さな病変や、将来がん化する可能性のある大腸ポリープなどを見逃すことなく発見することが可能です。
症状がなくても、ポリープやがんの発症が増えてくる年代になったら、定期的に大腸カメラ検査を受けておくことが大腸がんの予防になります。
当院の大腸内視鏡検査の特徴
経験豊富な内視鏡専門医による大腸カメラ検査
大腸カメラ検査は曲がりくねった大腸内をスムーズにスコープを挿入していく操作のため、医師の手技の差が大きく反映されます。当院の大腸カメラ検査は、日本消化器内視鏡学会の内視鏡専門医の資格を持ち、大学病院・市中病院などで豊富な臨床経験を積んだ医師が行うため、患者様の負担が大きく低減されます。医師の高度な手技を活かすため、最新鋭の内視鏡装置を導入し、迅速な解析で見落としの無い正確な検査を可能にしています。
最新鋭の内視鏡システム
オリンパス「EVIS X1」を導入
当院では、内視鏡システムで世界をリードするオリンパス社の最新の最上位機種である「EVIS X1」を導入しております。最新機能が搭載されているため、従来よりも病変の発見や診断の精度が高くなりました。
がんなどの消化器疾患の早期発見・早期診断をすることができ、患者様の負担を最大限に抑えた検査を行うことが可能です。
胃カメラと大腸カメラの
同日検査
当院では、胃カメラ検査と大腸カメラ検査を同日中に受毛ていただくことが可能です。検査のために数日の日程を取っていただく必要がなくなり、面倒な事前の食事制限なども1回で済み、お忙しい方にぴったりのメニューとなっております。
内視鏡検査室2部屋・
リカバリーベッド8台完備
内視鏡検査を専門とする当院では、内視鏡検査室を2部屋用意して、患者様をお待たせすることなく検査を行えるようにしております。
鎮静剤を使用した場合は、検査後に30分~1時間ほどお休みいただきますが、そのためのリカバリースペースはプライバシーに配慮した上でストレッチャーベッド8台分のスペースを用意しており、安心してお休みいただけます。
お腹の張りを抑え、検査後の
苦痛を軽減
曲がりくねった大腸の内部は、さらに細かいヒダやシワがたくさんあります。その隠れた部分の病変も見落とすことないよう検査を進めるために、腸内に気体を送り込み、ヒダやシワを伸ばしながらその部分の粘膜を観察していくことになります。
従来はこの気体に空気を使用していたのですが、空気は腸内での吸収が遅く、検査後にお腹の張りが残る原因となっていました。
当院では、この気体に空気の200倍吸収が速い炭酸ガスを使用しております。炭酸ガスはすぐに腸壁から吸収され、血液に混ざり呼気によって体外に排出されますので、検査後にお腹の張りを覚えることもなく、すぐに日常生活に復帰することが可能です。
検査中に発見した大腸ポリープをその場で切除可能
大腸ポリープ自体は良性ですが、放置すると時間経過とともに一定確率でがん化すると言われています。一定以上に大きいポリープは切除しておくと将来のがん化の予防となります。
当院では、大腸カメラ検査時に発見されたポリープはその場で切除を行う日帰り手術に対応しており、必要に応じて高周波装置によってポリープを通電して切除します。
※大腸ポリープの数が多い、巨大化しているなどの場合は、出血の危険がありますので、改めて入院の上の切除となり、当日日帰り手術ができないこともあります。このような場合は、入院設備のある病院へご紹介させていただいております。あらかじめご了承ください。
コールドポリペクトミー(Cold Snare Polypectomy)
1㎝未満のポリープに対して、スネア(輪状のワイヤー)を使って切除します。通電させずにポリープを切除しますので、術後の出血や腸に穴が開く『穿孔』のリスクが軽減されます。
スネアを広げて病変を縛ります
そのまま通電せずに切除します
内視鏡的粘膜切除術(EMR:Endoscopic Mucosal Resection)
1cm以上の大きなポリープや悪性を疑う病変を切除する際に行います。
病変の粘膜の下に薬液を注入し病変を持ち上げます。スネア(輪状のワイヤー) を病変にかけ、輪を徐々に縮めていき縛ります。高周波装置によって通電し、病変を切除します。
この際痛みは感じません。術後出血が起きないよう、クリップで傷口を閉じて切除完了です。
①病変を観察し、切除する範囲を確認します
②局注針を使って病変の粘膜の下に薬液を注入します
③薬液により病変が持ち上がります
④スネアを病変にかけ、根っこで輪を徐々に縮めていき縛ります
⑤通電して病変を切除します
⑥出血しないよう、クリップで縫縮します
鎮静剤・鎮痛剤による苦痛・
痛みへの配慮
当院では、経験豊富な医師が、高度な手技で検査を行いますので、大腸カメラ検査そのものの負担はかなり低減されています。それでも内視鏡検査が苦手という方の場合、身体が硬くなって、検査の進行がかえって遅くなってしまうような場合があります。
そのような方には、鎮静剤・鎮痛剤を使用して、ウトウトと眠っているような状態のまま検査を終わらせることができるコースも用意しておりますので、ご相談ください。
検査終了後は眠ったまま
ストレッチャーで移動
当院の内視鏡検査では、可動式のストレッチャーベッドを使用しております。検査終了後、患者様は横になったまま、スタッフがリカバリースペースまでお運びします。鎮静剤を使用した場合も、寝たままの状態で移動していただけます。
院内下剤用のトイレ付個室を
7室完備
大腸カメラ検査の場合は、事前準備として下剤を使って腸管をきれいにしておく必要があります。通常はご自宅で朝に下剤を服用していただき、お腹が落ち着いた後のご来院で検査となりますが、ご自宅で下剤を服用するのが不安、当院までの道中が不安という方のために院内で下剤を服用していただける個室を7室用意してあります。
当院の特徴は全7室にそれぞれ専用のトイレが付いていることです。
人の目を気にすることなく、完全個室のプライベート空間でゆったりとお過ごしいただけます。
WIFIを完備していますので、お手持ちのパソコンなどをお繋ぎ頂くことで、インターネットのご利用やお仕事も可能です。
男女別の更衣室完備
大腸カメラ検査の場合は、専用の検査着に着替えていただいております。当院では男女をしっかりと分けた更衣室を用意しておりますので、安心して検査を受けていただくことができます。
当院では複数種類の下剤を
用意しております
大腸カメラ検査を行うには、検査を正確に行えるよう大腸の中をきれいにする必要があります。そのために使用するのが下剤(腸管洗浄剤)です。 下剤にも様々な種類があり、それぞれ特徴も異なります。当院では、患者様にとって最適な下剤を選択していただけるよう、複数の下剤をご用意しております。
下剤の種類
マグコロールP
スポーツドリンクのような味でとても飲みやすく人気のある下剤です。
1.8Lの液剤を約2時間かけて内服します。
洗浄力はモビプレップに劣るため、便秘の方は大腸の中をきれいにしきれないことがありますので、相談させていただいております。
モビプレップ
マグコロールP 1.8L分の洗浄力を、1Lで発揮するほど洗浄力の高い下剤です。便秘の方もしっかり洗浄できます。
下剤自体の量は少ないのですが、水分を追加で内服します(1Lの下剤で500mlの水分を追加で飲む形です)。
便の状況で内服量を調整します。味が濃厚なため、好みが分かれます。
ビジクリア
錠剤を15分毎に5錠ずつ200mlのお水またはお茶と共に内服します。
錠剤なので嫌な味がなく内服できますが、最大50錠内服しますので、好みが分かれます。また、胃の中に錠剤の溶けた液体が残りますので、胃カメラと同時に行う方は内服できません。
ピコプレップ
少ない薬液量(150ml×2回)で済み、オレンジ味で飲みやすい下剤です。
下剤とは別に水やスポーツドリンクなどの透明な飲料を2L以上飲む必要がございます。
検査の前日と当日の2回に分けて飲んでいただきます。下剤を1.5L以上飲むのが苦手な方におすすめです。
徹底した洗浄と消毒で感染予防に努めています
大腸カメラ検査では、他人のお腹に入ったものを再使用することを心配される方がいらっしゃいます。
日本消化器内視鏡学会では、ガイドラインによって、内視鏡のスコープなどの使用後の洗浄・消毒について厳しく規定を設けています。
当院でもこのガイドラインに従い、患者様ごとに専用の洗浄器を用いて洗浄・消毒を徹底しております(高水準消毒薬を使用しております)のでご安心ください。
大腸内視鏡検査
(大腸カメラ)の流れ
大腸カメラ検査では腸壁に便が残っていると、その影の病変を見落としてしまう可能性があるため、検査前に腸管洗浄剤(下剤)を服用して、腸の中をきれいにしておく必要があります。
検査のみであれば15分ほどで終わりますが、ポリープの切除や組織のサンプル採集がある場合、少しずつ時間が延び、30分程度かかる場合もあります。検査の流れは以下の通りです。
Step1検査予約(Web又はLINEで検査日を仮予約)
大腸カメラ検査の場合、事前に外来による診察が必要です。その際、服用中のお薬を確認しておく必要がありますので、お薬手帳、または服用中のお薬すべてをお持ちください。診察の際に検査日を予約していただき、当日までや検査後の注意などについてもご説明いたします。特にワーファリンやリクシアナなど血液の抗凝固薬を服用されている方は、必要に応じて数日休薬をしていただくことになります。
当院の予約システムでは検査日を仮予約することが出来ますが、検査日の5日前までに事前の診察が必要となりますので、診察のご予約もお取りください。事前の診察が無い場合はキャンセル扱いとなりますのでご注意ください。
Step2検査3日前(普段から便秘のある方のみ)
3日前より、可能な限り下記の『避けてほしい食材』を避けてください。
検査日まで便通をよくするため、緩下剤(酸化マグネシウムなど)を内服していただく場合がございます。
事前診察の際に検査食をご案内することも出来ます。
※避けてほしい食材
- キノコ、海藻、こんにゃく、ゴマ、トマト、みかん、パイナップルなどの繊維の多いフルーツやスイカ、キウイなどの種があるもの
- ごぼう、とうもろこし、玉ねぎ、なす、ねぎ、にらなどの繊維の多い野菜や豆類
Step3検査前日
前日のお食事は、柔らかく煮たうどんや白粥など消化の良い物、お腹に残りにくいものを食べてください。当院では、検査食も用意できますので、ご希望の方はお申し付けください。前日夕食は21時までに済ませてください。
プルゼニド2錠(下剤)を寝る前に内服していただきます。なお、水・薄いお茶などで水分補給は適宜行い、検査に備えて早めにお休みください。
Step4検査当日
日ごろ服用されているお薬については、事前診察の際のご説明通り、服用可能なものは朝のお薬も服用していただけます。ただし朝7時までに水で服用してください。糖尿病のお薬につきましては、絶食による低血糖の恐れがありますので、当日は休薬にしてください。脱水を避けるため、水分は水・お茶など透明なもので適宜補給してください。
事前にお出しした下剤(腸管洗浄剤)を内服していただきます。下剤の種類にもよりますが、約2時間ほどかけて約2Lの下剤を内服いただきます。途中からトイレに通うようになり、5~10回の排便があります。最後に便が完全に水のように透明になり、残渣などがなくなったら準備完了です。通常服用を始めてから4時間程度で便が出きって下痢が止まり、お腹が落ち着いてきますので、ご予約の時刻から逆算して余裕をもった時刻から飲み始めるようにしてください。お腹が落ち着いてから予約時間にご来院ください。
ご自宅での服用が心配な方や、事前の診察時に必要と判断した方には、院内で下剤を服用していただくこともあります。
Step5検査
検査着にお着替えいただきます。その際、金属類の装身具などは外していただきます。ストレッチャーに左を下に横になっていただき足を抱えるような姿勢をとっていただきます。鎮静剤を使用した検査をご希望の場合は、点滴を入れ、側管から鎮静剤を注入します。肛門に麻酔をして検査開始です。検査のみの場合15分程度とお考えください。
Step6検査後
検査が終了したら少しお休みいただき、その後医師が結果について画像などをお見せしながら説明します。
鎮静剤を使った検査の場合は、検査終了後も鎮静剤の効き目が残っていますので、完全に目が覚めるまで、リカバリースペースで30分~1時間ほどお休みいただき、その後医師からの説明となります。
鎮静剤を使った検査の場合、当日ご自身での自動車、バイク、自転車などの運転は禁止となります。ご家族に送迎していただくか、公共交通機関をご利用ください。
※当日、大腸ポリープ切除の日帰り手術を行った方には、その後1週間程度行動に制限があります。
検査にかかる費用
3割負担の方 | 2割負担の方 | 1割負担の方 | |
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大腸カメラ検査 | 4,800円 | 3,200円 | 1,600円 |
大腸カメラ検査+ 病理検査 |
9,000円~16,500円 | 6,000円~11,000円 | 3,000円~5,500円 |
大腸ポリープ切除 | 28,000円~36,000円 | 19,000円~24,000円 | 9,500円~12,000円 |
※上記の金額はおおよその費用となります。
※薬剤や組織検査、ポリープ数・大きさによって費用が異なります。
初診料、採血料、鎮静剤の薬剤費用などは別途申し受けます。