バレット食道とは?
バレット食道とは、食道の粘膜が胃酸の逆流に晒され続けて、胃粘膜のように変質してしまった状態を言います。逆流性食道炎を治療せずに放置すると、バレット食道になります。
食道の粘膜は、本来、扁平上皮という細胞の幅が高さより広い細胞で構成されています。胃の粘膜は胃酸から自らを護るために、円柱上皮という細胞で構成されています。通常、食道と胃の境目である噴門部がこの扁平上皮と円柱上皮の境目になるのですが、逆流性食道炎で食道粘膜が胃酸に晒され続けると、胃酸から食道を護ろうとして、食道粘膜の一部が円柱上皮に置き換わってしまいバレット食道となります。パレット食道は食道がんになるリスクが高い状態ですので注意が必要です。
近年、欧米型の高タンパク、高脂質食が増えてきたのと、ピロリ菌除菌が進んできたことによって、逆流性食道炎が若年層にも増え、バレット食道も増加しています。
バレット食道と食道がんの関係
バレット食道の円柱上皮は、胃酸の逆流によっては絶えず炎症を繰り返しているためがんが発症しやすくなります。
バレット食道は、全周性に3cm以上のものをLSBE(Long Segment Barrett’s Esophagus)、3cm未満のものをSSBE(Short Segment Barrett’s Esophagus)とに分けられます。
日本ではSSBEの頻度が高く、LSBEはまれです。SSBEに比べてLSBEでは、より発がんリスクが高いと考えられています。
バレット食道の症状
バレット食道自体には特に症状はありませんが、ほとんどの原因が逆流性食道炎ですから、特有の心窩部痛(みぞおちの痛み)、胸やけ、げっぷ、呑酸(すっぱいげっぷ)や咳などの症状があります。
バレット食道の原因
逆流性食道炎で食道の扁平上皮が胃酸による刺激が長期間続き、炎症を起こし続けるために、防衛反応として胃酸に強い円柱上皮を新生させていくのではないかと考えられています。適切な逆流性食道炎の治療を続けないと、バレット食道の範囲がどんどん拡がっていき、LSBとになり、がん化のリスクが高まってしまいます。
バレット食道の検査
逆流性食道炎が続いている場合、バレット食道化が疑われますので、定期的に胃カメラ検査によって食道粘膜の状態を観察することが大切です。
胃カメラ検査では直接粘膜の状態をみて、バレット食道になっているか、バレット食道がSSBEかLSBEか確認し、状態に合わせた治療を行っていきます。
がん化が疑われる病変を発見した場合、内視鏡の先端から組織のサンプルを採集して病理検査を行い、確定診断を行います。
バレット食道の治療
一度バレット食道化してしまうと現在の医学では元に戻すことは困難です。できるだけ早期にバレット食道化を発見し、狭い範囲で食い止めるため、逆流性食道炎の治療を続けながら、胃カメラ検査の頻度を上げておくことが大切です。
バレット食道の原因のほとんどは逆流性食道炎ですから、逆流性食道炎予防のため、前屈みの姿勢、腹圧のかかる作業や服装、食後にすぐ横になるといった生活習慣の改善や、高脂質食・刺激物や酸っぱいものなども控えるなど食習慣を改善し、逆流を低減し、適宜、薬物療法も併用して再発を防いでいくことが大切です。